「テレビに映る中国の97%は嘘である」小林史憲・著(講談社)
テレビ東京と特派員の生の声
この地方に限ってですが、書店で平積みいただいております、私のサブカルな共著「名古屋あるある」と、話題の本として近くに置かれていることが多くて、思わず手に取ったのがこの本、「テレビに映る中国の97%は嘘である」です。
この本は、現在はテレビ東京のプロデューサーで、かつて中国に特派員として行かれ、中国で20回以上拘束された経験のある記者の方が書かれた本です。
タイトルはとてもセンセーショナルですが、その「嘘」のなかにも、いかにも中国はそうだと思いがちだけどそうではない、というものと、逆に、意外と思ってもみなかった側面では極端にそうなっている、という両面の「嘘」があって、内容自体もとても興味深いのですが、それだけでなく、一般的には、あまり報道に力を入れていないと思われがちで、経済が主体ではないニュースは一日一回夕方だけ、土日に至っては5分とか10分枠しかないテレビ東京、
その限られたニュース枠にもかかわらず、いかにしてニュース映像をスクープするか、放送記者魂、執念を感じることができます。私のようにテレビ東京のニュースをよく見てる方でしたら、ああ、あの時のあの中国のニュースは、そういう経緯でテレビ東京が他局に先んじて報じたのか!と、裏側を見ることもできます。
とても読みやすく、講演を聞いているかのように、頭にその情景が思い浮かびます。
もちろん、中国の実態を記者の視点で、という側面の本ではありますが、いかにしてテレビメディアや新聞メディアが、取材活動を執念で展開しているか、ネットメディア、ネットのニュースと言っても、ほとんどはこういう、既存のメディアがとってきた情報ばかりなわけで、ネットメディアがこういう独自の取材力をもつほどになる、そんな時代は果たして来るのだろうか?やっぱり、一次ソースを取りに行くのか報道機関だなと、あらためて感じることができます。
ただ逆に、いつでも情報を出せるネットメディアが、現在のテレビほどの取材力をもったら、速報性では優位性がありますから、それは大きな力になるのかもしれませんが…でもそれって、何で収益を上げるのかという問題もありますよね。
わずか数分、いや、特にニュースの放送時間が短いテレビ東京ですと、わずか数十秒といったニュースひとつに、記者がどれだけの労力で立ち向かっているのか、よくわかる一冊です。帯の「村上龍氏絶賛!!」がいいですね。すごく…カンブリア的です。
コメント
著者です。読んで頂きありがとうございました。中国を好き嫌いではなく、自分が体験したままに描いたつもりです。実はこのたび、第2弾として「騒乱、混乱、波乱!ありえない中国」(集英社新書)を出版しました。よりディープに中国が抱えている問題に迫ったつもりです。よかったら、ぜひこれも読んでみて下さい。
>小林史憲さま コメントありがとうございます
著者さまからのコメントに驚きました。
第2弾が発売になっているのですね!さっそく買い求めて
読ませていただきます。