「古地図で楽しむなごや今昔」溝口常俊・編(風媒社)
あの時のあれがこれなんだ
私はかつて、1年以上にわたって、名古屋市内を街あるきしつくしまして、延べ500キロ以上を歩き、「名古屋観光地化計画・名古屋を歩こう」として、まとめたのも、このサイトの基礎となっているのですが、最近書店でよく見かけますのがこの本、「古地図で楽しむなごや今昔」です。
名古屋市内を歩いてみますと、驚くほどに、歴史の痕跡が数多く残されているんですよね。戦国時代のあの人のエピソードがここで、とか、江戸時代のあの話はここで起きたものだったのかや、明治時代にここでこんなことがあったんだなど、驚くほどに、昔の名古屋は今も痕跡があり続けています。
しかし、それを紐解くのはなかなか大変で、そういう場所を意図して訪れようとしても
難しいところがありました。そんな街あるきにぴったりなのがこの本です。それこそ、江戸時代から明治、そして昭和と、さまざまな時代に作られた地図・絵図をもとに、それと今の街を対比させていますから、面影を体感しながら街あるきができるというわけです、各界の方がそれぞれの得意分野をもって執筆されているので、深い知識を得ることができます。
なかでも「公共交通機関と風景の変貌」というコーナーでは、名古屋大学大学院環境学研究科准教授の加藤博和さんが、「基幹バス新出来町線をゆく」を書かれておりまして、私は母の在所が引山でして、その風景は、基幹バスが通る前のことも記憶にありますので、まさにその変貌、自分の脳内にある過去の景色とともに楽しむことができました。
このように、それぞれ名古屋っ子には思い出の風景があるでしょうから、その、知っている風景の過去と今、また、現在の風景しか知らない場所の過去、今、目の前にあるものが実は、過去からタイムスリップしてきたものであるというその衝撃は何ものにも代えがたい名古屋の街あるきの魅力といえます。おすすめの一冊です。
それにしても、先ほどの基幹バス新出来町線をゆく、ですが、基幹バスに乗車して、そこからさらに、オススメのバスを散策もできるコース例が書かれているところが、さすが加藤先生ですね。基幹バスも、名古屋が誇る先進的取組のひとつですね。
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