栗観世(恵那川上屋)
一年中食べられる栗きんとん
岐阜の中濃から東濃にかけて、9月に入ると聞こえてくるのが「そろそろ栗きんとんの季節だね」という声。確かに、栗きんとんといえば秋というイメージが強く、そろそろ食べたくなってくるのですが…。
栗きんとんで知られる川上屋のひとつである「恵那川上屋」は、一年中季節にあわせた栗きんとんを販売しています。秋の本格栗きんとんシーズンを前に、すべりこみで「夏の栗きんとん」をいただきました。
2つの川上屋
東濃の栗きんとんと言えば「川上屋」ですが、この川上屋には2つある事実は、地元の人なら当然のことですよね。
「御菓子処川上屋」は、中津川市に本社を置き、1864(元治元)年創業。中津川の本店をはじめ、中津川市内に4店舗と、中部空港の銘品館に販売所を構えています。
一方の「恵那川上屋」は、1964(S39)年創業。恵那市に2店舗、瑞浪、土岐、可児、岐阜、高山、さらには東京の二子玉川と種子島!に拠点を構えています。さらに、中津川には工房があるものの、店舗として出していないのは棲み分けでしょうか。
まるで名古屋の山本屋本店と山本屋総本家みたいな感じがしますが、100年の差があるのと、出店エリアが被っていないという点で違いますかね。
今回いただいたのは、後者の「恵那川上屋」です。
年中栗きんとんが食べられるのは…
恵那川上屋では、秋の栗きんとん以外の季節は何が目玉になっているのかといいますと…。
春は「里長閑」山芋の練り切りと自然薯をあわせ、土の香りがほんのりと。
夏は「栗観世」水と含んだ生地がぷるんとした食感。暑い地域だけにひんやりと。
冬は「天日果喜」干柿と練り切りを合わせて栗きんとんを包めば相性抜群。
それぞれの季節に合わせた、栗きんとんの味わい方を提案されています。それができる秘密は、恵那川上屋の「夢の凍結庫」。栗を新鮮なまま保存できるようになったことで、一年中、表情の違う栗きんとんを味わえるようになったのですね。
美濃白川の水が包み込む
では、去りゆく夏を惜しみつつ、夏限定の「栗観世」をいただいてみましょう。まず、栗きんとんを包み込んでいる生地の涼しげなこと。美濃白川の「麦飯石の水」を使っているという水生地はやわらかくひんやり。
清涼感がすごいですね。今や東濃は、多治見のイメージもあって「夏は灼熱」というイメージが定着しただけに、そんななかでいただく和菓子は清涼感が絶対必要!というのがわかります。
その清涼感に包まれた栗きんとん。おいしくいただきました。
さあ、9月に入ったらいよいよ栗きんとんの本シーズン。残暑のなかプレ栗きんとんとして楽しめました。
恵那川上屋って「超特選恵那栗」というブランド栗を生み出していたのですね。しかもあの鉄人・道場六三郎氏もお店で使用しているのだとか。ビジネス戦略あってこその地域の銘品になり得たということですね。こちらの本に詳しく書かれています。
コメント
TOPPYさんならご存知ではないかと思いますが、中津川に於ける栗きんとんのもう一方の雄・すやも、『すや』と『恵那寿や』(えなすや)があります。
姻戚関係があるという話もあるのでもしかしたら暖簾分けかも知れませんが。