地元のラジオ局へ…名古屋のRadio NEO次の一手はサテライトスタジオから毎日生放送

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NTP-ark まちくるスペース(イオンモール常滑)

東京の出先ラジオ局というイメージから脱却

 既存の民放ラジオ局が、他の地域へ進出することが法改正によって可能となり、その初の事例となった「InterFM NAGOYA」。東京のInterFMが名古屋に支局を設け進出しました。

 InterFM NAGOYAは、2014(H26)年4月1日にFM 79.5MHz 出力 5kWで開局。それはかつて、2010(H22)年9月30日まで同じ周波数で放送していた、RADIO-i(レディオアイ・愛知国際放送)の周波数割当を引き継ぐ形となりました。

 「東京のFMが名古屋でも聞ける!」としてInterFM NAGOYAは名古屋に上陸したのですが…。

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一転して地元のラジオ局に

 InterFM NAGOYAは当初、番組のほとんどが東京のInterFMと同じで、まさに東京のラジオが名古屋にやってきたという印象でした。ところが、開局から1年半が経過した2015(H27)年10月1日、それまでの方向性とは全く逆の方向に舵を切ります。

 InterFMの名古屋支社という企業としての扱いは変わらないものの、「地域に根付いた放送局として生まれ変わる」として放送局名を「Radio NEO」と一新。

 その「Radio NEO(レディオネオ)」という放送局名からも感じられるとおり、「InterFMが名古屋にやってきた」から「RADIO-i(レディオアイ)が新しくなって再登場」というイメージに転換したのです。

 東京では、来春で開局20周年を迎え知名度のある「InterFM」ですが、かつて系列だったRADIO-iでも、それほどたくさんInterFMの番組が流れていたわけでもありません。会社破綻で消滅してしまったとはいえ、名古屋の地で10年以上に渡って放送していた「RADIO-i」の方が知名度があるのは明白です。

 それはRadio NEOという放送局名だけでなく、かつて、RADIO-iで人気を誇った「IJ(RADIO-iではDJをIJと呼んでいました)」が登場。もちろんすべてではありませんが、名実ともに「かつてのRADIO-iの後継局」になりつつあります。

転換に至った2つの可能性

 この秋からは、平日の朝7時から11時までと、午後8時台(7月から継続)と11時台(金曜のぞく)などが名古屋独自番組に。さらに12月からはパワーアップ。午後7時台と、9・10時台(金曜のぞく)も名古屋発となりました。

 特に月曜から木曜は、朝7時から11時、午後7時から深夜0時と、9時間ものローカルゾーンが設けられることになったのです。

 この経緯には2つの可能性が考えられます。

 ひとつは、名古屋独自番組の制作体制を整えるための準備期間としての「InterFM NAGOYA」だったのではないかということ。

 そしてもうひとつは、InterFM NAGOYAが2015(H27)年7月30日からインターネットサイマルラジオサービス「radiko(ラジコ)」に参加することとなり、全国のラジオ局が聞ける有料サービス「radikoプレミアム」では、「InterFM」と「InterFM NAGOYA」の両方が聞けるようになったということです。

 これを実現するためには、InterFMはradikoに対して2局分の利用料を払っているのでしょうから、同じ番組を流すよりも、別番組を流してスポンサーを確保できれば、より、収益を上げることが可能になります。

 InterFM NAGOYAをRadio NEOに衣替えすることで、名古屋では「地域密着の番組」という形で放送しつつ、全国向けのradikoプレミアムでは、同じ会社でありながら、InterFMは2系統の発信手段を持てたということになります。

サテライトスタジオが登場

 さらに、Radio NEOは次の一手を打ちます。かねてから地域最大規模のショッピングモールとなるであろうと期待され続け、オープンを待ち焦がれていた人の多い「イオンモール常滑」が12月4日にグランドオープンするのですが、そこから公開生放送を毎日行うというのです。

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 イオンモール常滑内に出店した、名古屋トヨペットの「NTP-ark(エヌティパーク)」。Radio NEOは平日の毎日、このNTP-ark内の「まちくるスペース」から、1時間の番組を生放送。

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 番組名は「MUSIC GARAGE from NTP-ark」

 月曜から金曜まで、午後7時から1時間の生放送。DJは3人が曜日替わりで担当、水曜と木曜は世界各国の観光プロモーションに携わられてきたトライリンガルの酒井エレナさん、金曜は知多半島出身の地元モデルがラジオに初挑戦のMADOKAさん。

 そして…。

 月曜と火曜は、かつてRADIO-iで圧倒的な人気を誇り、局の顔ともいえるIJであった、佐野瑛厘さんが登場。

 朝の「Morning NEO-GAYA-」を担当されているNORRIさんとともに、けっして、放送上は「RADIO-iが帰ってきました」と、触れられることは一切無いでしょうけれども、かつてのRADIO-iリスナーにとっては、思わず目頭が熱くなってしまう顔ぶれです。

 「MUSIC GARAGE from NTP-ark」は、公開生放送されるとのことなので、ON AIR Resortを体感しに、イオンモール常滑のNTP-arkにおでかけされてはいかがでしょう。

 なお、イオンモール常滑のグランドオープンとなる12月4日は午後7時から、酒井エレナさん、MADOKAさん、そして佐野瑛厘さんが勢揃いしての番組となるそうですよ。

それって「ワイドAM」?枠にとらわれないローカル新番組も

 さらにRadio NEOは攻めます。12月からの新番組はこれだけでなく、月曜から木曜の21時からは2時間の生ワイド「ラジカルNEOナイト」が登場。

  • 月曜「それいけ!アニソンバカ一代」
  • 火曜「100%SKE48」
  • 水曜「VISUAL REVOLUTION」
  • 木曜「週刊大人のミュージックカレンダー」

 月曜はアニソン、火曜はSKE、水曜はビジュアル系、木曜は60~70年代の邦楽。それを夜9時からという編成は、まるでAMラジオかのようです。

 昨今、AMラジオ局が「ワイドFM(FM補完中継局)」をスタートさせたことで音楽番組を始めるなど、AM局のFM化を感じられるようになってきましたが、電波はAMで出さないものの、逆にこのRadio NEOはFM局のAM化、「ワイドAM」のような印象さえ受けます。

 RADIO-iの残り香もしっかりと漂わせつつも、かつて破綻したRADIO-iのように「枠」にとらわれることなく、様々な角度で名古屋に全国にアプローチ。

 Radio NEOの挑戦がこの12月、今、始まりましたね。Radio NEOは名古屋都市圏ではFM 79.5MHz、radikoでは東海3県で、radikoプレミアムでは全国で聴取が可能です。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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