前回の続きです。先日、厚労省叩きをこれ以上やるならトヨタはスポンサーを降りる、という主旨の、トヨタの奥田相談役によるテレビ局に対する脅し発言がありました。
テレビ局というのは、スポンサーがあって初めて成り立つ商売です。報道に介入があってはならない!というのが報道機関としての理想ですが、普通はそうはいきません。しかし、あるのです。ニュースだけは絶対に誰にも口出しさせない!という心意気を、ずっと持ち続けている放送局が青森に。
今では、どこの地方テレビ局も大抵、地元のニュースを伝えるワイドニュース番組を制作していますが、かつて昭和40年代までは、地元新聞社による制約や、制作能力の低さから、地元のニュースというのは、10分か15分程度の番組しかありませんでした。
そんななか、1970(S45)年4月1日、日本で初めて、地元のニュースを伝えるワイドニュース、「RABニュースレーダー」をスタートさせたのが青森放送でした。この番組は時代の先を行く、超画期的な番組だったのです。いかに画期的だったのかといいますと、
朝6時58分スタートという、今ではよくある、定時よりも少し早くスタートする「フライングスタート」を日本で初めて導入し、なおかつ、間に東京からのニュースを内包し、「続いては東京からお伝えします」というスタイルを、日本で初めて採用した番組なのです。
今も夕方に放送時間を変えて、「RABニュースレーダー」は放送されているのですが、最もすごい点は、番組スタートから38年。番組に提供が一切いないのです。流れるのはスポットCM(どこの時間でも流せるCM)だけ。
これはスポンサーがついていないのではなく、青森放送側が意図的につけていないのです。
東海地方のあるテレビ局で、かつて原発立地問題があった際、その特集を組もうとしたディレクターに対し、ニュースのスポンサーが電力会社であることで、番組責任者から待ったがかかった、という話を聞いたことがあります。やはり、ニュース番組にスポンサーがついていると、そのスポンサーが不利になるようなニュースは扱いにくくなります。
そうならないように、青森放送はニュースレーダーにスポンサーをつけていないのです。この地方でも以前は、名古屋テレビにもそんな枠があったのですが…。
この青森放送のように、TBSも来春から始める2時間のニュース番組に、それくらいの気概を持って取り組めば、「報道のTBS」復権への道が開けるかもしれませんね。実際には全国ネットでノンスポンサーは無理だと思いますが…。
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