地上波ラジオ局の放送を、基本的に24時間そのままサイマルで、インターネットにて流すサービス「radiko(ラジコ)」の試験運用が今日からスタートしました。このサービスは、インターネットのアクセス元を示す、IPアドレスにより都道府県を判別して…
東京・神奈川・千葉・埼玉県民に向けて
・TBSラジオ ・文化放送 ・ニッポン放送 ・ラジオNIKKEI
・TFM ・J-WAVE ・InterFM
大阪・京都・兵庫・奈良県民に向けて
・MBSラジオ ・ABCラジオ ・ラジオ大阪
・FM OSAKA ・FM802 ・FMCOCOLO
を流すというもの。
その割には、ニッポン放送とラジオ大阪のサイトには、「いつでもどこでも」なんてradikoのバナーが貼ってあったりします。インターネットなのに地域限定。そもそも、NHKは別として、なぜ放送というのは、地域ごとに別れているのでしょうか。
地域に根ざした番組、災害の即時対応などなど…いろいろ建前はあるでしょうが、結局のところ、電波を使って金を稼ぐという利権を、地域によって分け合っている、というわけです。
ところで、なぜ今回、そんな分け合っているはずの利権があるはずのラジオが、インターネットなどという世界に踏み出したのでしょうか。
ラジオは今、都市雑音などで聞こえる環境が…なんてのはこれまた建前で、ラジオを聞く人の絶対数が少なくなった。要は、ラジオの電波利権が利権でなくなり始めたわけです。そこでインターネットへと漕ぎ出したわけですが、そもそもインターネットには、地域ごとに利権を分けるだとかそういう発想はありません。
なのにそこへ、電波と同じように、地域ごとの利権を持ち込もうとしているからさあ大変。
IPアドレスでの地域判別は厳密なものではないため、すでに、今回のradiko対象地域なのに聞けないだとか、その逆、対象地域ではないはずなのに、東京や大阪のラジオが聞けているという事象が発生しています。
それに、例えば、電波の上では、TFMとJ-WAVEは東京都だけを対象とした放送なのに、今回は神奈川・千葉・埼玉でも聞けるわけで。
なぜ、本来のエリアではないはずの、神奈川・千葉・埼玉でTFMやJ-WAVEが聞けるようになったのに、北海道や愛知、福岡では聞けないことになってるの?
TFMとJ-WAVEにとっては、免許エリアを逸脱したサービスなのに、近い県だから聞けて、遠い県は聞けないって、何を根拠に?
こんな疑問が生まれるのは当然のことです。
確かに今日、ラジオは、インターネットでも聞けるという新しい時代を迎えました。しかしそれは、これまでは電波という、国が決めた、地域ごとに区切られた利権で、互いに守られてきたことからの脱皮になるわけです。
インターネットで、地域ごとにアクセスを区切っているのは、国が決めた利権でも何でも無く、単純に、業界自身が地方局同士で生き残りたいという、それだけのためのもの。
これまで利権で食べてきたラジオ局が、利権の無い世界へ飛び出したわけで、そこでもやはり、これまでどおり、地域ごとの利権という、枠組みを意地でも維持していくのか。
いや、既に東京都域の局が4都県で、大阪府域の局が4府県で聞こえるようになった時点で、これまで一部の局に与えられていた広域免許を持つ局以外にとっては、ラジオが、県単位の利権という前提が崩れたことになります。
これがラジオにとって、新しい未来を切り開いたことになるのか、崩壊の始まりとなったのか。
どちらにしろ、今日、2010(H22)年3月15日は、未来から振り帰って、ラジオにとってのターニングポイントだったなぁ…と言えることは、間違いないでしょうね。
コメント
こんばんは。
JFN等のネットワークのことを考えると、妥当と見たほうがいいのですかね・・・。
あと、ラジオ日経が南関東に絞られてるのはちょっと…と思いますけど、本格実施のときまでの我慢。うちの地域でも同様に。
おはようございますTOPPYさん。
>大阪・京都・兵庫・奈良県民に向けて
>・MBSラジオ ・ABCラジオ ・ラジオ大阪
>・FM OSAKA ・FM802 ・FMCOCOLO
私の住む滋賀や和歌山県は近畿圏じゃないのかな?上記のラジオは充分入るんですけどね…。
滋賀県民はKBS京都(滋賀放送局)だけで我慢しろってか。
ところで、MBSの「ありがとう浜村淳」のHPでは、毎日放送のうちの1時間分だけを流していますが、あれはどうなんですか?生放送じゃなくて録音を流すのならエリアは関係ないのかな?
難しい話、です。
“縄張り”の問題が大きいけれど、要するに、“著作権”の線引きが難しいのもあろうか、と思うのです。
ラジオはローカル放送が多いけど、形として“系列関係”が出来ている。
東京の番組でも、“全国放送”なら、地元のラジオ局でも聴ける番組がある――そんな事も大きいか、と思う訳で。
そこで、思ったのが、いっその事、“ネット向けの制作”をメインにして、“地上波”でも再送信をする。
地上波で、“全国放送の番組”がある時間はそれに切り換えて、ネットでは、独自の放送を続ける――と、言うのはどうかな?……と、思うのですが。
そうすれば、“棲み分け”も可能か――と思うけど、何れにせよ、“手探り”な現状。
まだまだ、試行錯誤が続くんでしょうね。
当方、神奈川在住。
radikoを使用した感想をば。
・radikoプレーヤー自体の使いやすさは◎
選局も早く、バッファもほとんど無い。
・何より特筆すべきは、AMがFMステレオ並みの音質で
当然ノイズ無しのクリアな音声で聞くことができる。
(神奈川は文化放送が受信しずらい故、最初に
文化を聞いたときは感涙ものだった)
・ただ残念ながらFMの音質は地上波に若干劣る
・radikoで放送を聴くには、radikoのサイト、
もしくは各放送局のサイトを経由することになる。
radikoプレーヤーのガシェットが出れば利便性は
大幅に向上するであろう。
・一部で非常に混み合っているという情報もあるが、
とりあえずうちは滞りなく使える。
個人的なradikoの総評は「何はともあれ、快適」
ところで、管理人氏はradiko.jpにアクセスされましたか?
地域外でも聞けたと言う報告もあるのでとりあえず試されてみては。
>tasuyaさま こんばんは
そういうことでしょうね~。
でも…JFN的に見ると今回、
大阪府域のFM OSAKAが、
Kiss-FM KOBEのある兵庫県を侵略した形になってますけどね…。
>樋口正孝さま こんばんは
放送の電波自体にはエリアの制限がありますが、
基本的に、著作権さえクリアすれば、
放送の内容をネットにそのまま乗せることに、
問題は全く無いはずです。
今回はあくまでもテストですから、9月からの本格運用時には、
滋賀や和歌山も聞けるようになると思いたい…ですね。
>Masayaさま こんばんは
でもあえて、
その難しいところに踏み込んだのが、radikoですよね。
ひょっとするとこれが引き金になって、
ラジオの系列そのものが崩壊する可能性だってあると思います。
本来聞けないはずのエリア外で聞けてしまうのは、
しょうがないとしても、
エリア内なのに誤判定で聞けないというのは、問題だと思います。
IPアドレスによる都道府県の誤判定は、
そう簡単に解決できる問題ではないでしょうし、
ここは、リスナーを信じて、
現在地を自己申告制にするというのも手だと思いますけどね。
ネットストリーミングと電波での放送の切り替えですが、
アイデアとしては面白いと思いますが、
今の地方局に、そんなことをする人的、金銭的な余裕があるのか、
そこも大きな問題だと思います。
>kat2さま こんばんは
こんなブログを書いていて、試していないわけがないです(笑)
twitterなどで教えていただいたりして、実際に各地での、
エリア誤判定の情報も把握しています。
が、私が使っているプロバイダーは、プロバイダー自身が
名古屋の会社ですので、当然愛知と判定されて聞けませんね。
一方のiPhoneは、東京都と判定されるものの、
iPhoneはまだradikoに非対応なので聞けません…。
快適ですか~うらやましいです。
別に私は東京や大阪のラジオは聴けなくてもいいので、
一日も早く、岐阜と名古屋のAMラジオが、
クリアに聞けるようになって欲しい、ただそれを願うばかりです。
そうですね、確かに矛盾だらけの制度ですよね・・・。
そういう意味で言えば、この前に始まったコミュニティFMのサイマルラジオもそうですし、もっと以前は、有線(USEN)でAMの再送信をしていたと思います。
あれもエリア外が一部含まれていたように思います。
個人的には兵庫県ですので、ラジコは利用しております。
ラジオ大阪が聞こえが悪いので、助かっております。
しかし何をおいても、基本は地上波。
そこをほったらかしにしたのは、自分たち、及び当時の郵政省であるということを忘れてはならないでしょうね。
>とくながたかのりさま こんばんは
有線放送のAM再送信については、
まあ、いろいろあったみたいですけれども、
コミュニティFMに関しては、
全ての局が全国配信されていますものね。
民放ラジオも、そうなったら…
でも、それはそれで、全く別物になってしまうかも、
しれませんね。
今、AM局は、送信所の維持管理費を削りたいがために、
デジタルラジオやサイマルラジオが軌道に乗れば、
AM放送は廃止してもいいのでは?なんて議論も、
懇談会で出ていますから、今後急激な変革はあるかもしれませんね。