CBCがいよいよラジオを切り離し分社化へ

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写真:中部日本放送(CBC)

一昨年のことでした。2011(H23)年8月、CBCの愛称にて、この地方でテレビとラジオがともに親しまれている、中部日本放送が「株式会社CBCラジオ」という会社を作りました。

当時、このブログでは、「株式会社CBCラジオ誕生」という記事をアップしたのですが、要約しますと、

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それまでCBCラジオの制作業務、放送送出業務を行っていた、「テクノビジョン」という会社に、CBCラジオの「営業」も担当させるため、わかりやすく、テクノビジョンを「CBCラジオ」という会社名に変更するというもので、ラジオを中部日本放送本体から切り離すわけではなく、CBCラジオの業務のうち、放送送出、制作、営業だけを担当する会社として、株式会社CBCラジオが誕生したという形でした。

その時は「ラジオの分社化ではない」ということでしたが、やはり動きました。このような発表がCBCからありました。

簡易吸収分割によるラジオ事業再編に関するお知らせ(PDF)

4月1日を効力発生日として、中部日本放送のラジオ事業を、株式会社CBCラジオに、吸収分割によって承継させることを決議したというのです。つまり、中部日本放送のラジオとテレビのうち、ラジオ事業を子会社に移管するというもの。

関係官庁からの許認可が認められればという条件つきですが、これまでにも、東京のTBSが同様の分社化を行っており、実現するものと思われます。

つまりこれまで、中部日本放送(CBC)は、ラジオとテレビの両方を兼営する、いわゆる「ラ・テ兼営局」という存在でしたが、この4月1日から、東海ラジオと東海テレビの関係と同じように、CBCラジオと中部日本放送(CBCテレビ)が別会社となります。

まあ、TBSが既にやっていることですし、系列のCBCが追随するというのは、自然な流れなのかもしれません。ただ、TBSは持株会社制に移行しており、TBSホールディングスの傘下に、テレビ事業の「株式会社TBSテレビ」ラジオ事業の「株式会社TBSラジオ&コミュニケーションズ」がぶらさがっている格好であるのに対し、

CBCは、中部日本放送から「株式会社CBCラジオ」を切り離し、引き続き中部日本放送はテレビ単営局して本体がテレビだけを放送する会社として存在し続けるという形になるため、印象として、ラジオを子会社化に押し付けて切り離すという格好になってしまっています。

まあ、TBSも分社化と持株会社化にはタイムラグがありましたので、最初はそういう格好だったわけですが。

–※追記–
中日新聞の報道によると、CBCも将来的には持株会社化を視野に入れた上での今回のラジオ分社化のようです。
———-

ただ、TBSには無いものがCBCにはあります。それは、CBCが長年誇りとして掲げ続けている、「日本初の民間放送局」という看板です。日本で初めて誕生した民間放送は、この中部日本放送(CBC)で、その数時間後に新日本放送(現在の毎日放送)が開局。この両局が、日本初の民間放送局を自称しています。

ただ、もちろんこれはラジオの話。ラジオを子会社に切り離してしまったら、中部日本放送が日本初の民間放送局を名乗り続けるのは…どうなんでしょう。

そこでポイントになってくるのが呼び出し符号(コールサイン)です。放送局には、国から放送免許が与えられる際に、世界でひとつのコールサインが付与されます。かつてTBSは、ラジオが「JOKR」で、テレビが「JOKR-TV」だったのですが、ラジオとテレビが別会社になる時点で、同じコールサインは使用できないというお達しがあり、

ラジオはそのまま「JOKR」、テレビが新コールサイン「JORX-TV」に変更されました。さて、CBCはどうなるのか。CBCのコールサインは、ラジオが「JOAR」、テレビが「JOAR-DTV」です。このJOARこそ、日本初の民間放送の象徴です。

「JO=日本の放送局」「A=最初に免許が与えられた」「R=ラジオの民間放送」

TBSの前例を考えると、ラジオがそのまま「JOAR」となり、テレビに新たなコールサインが付与されるという流れになりますが、もしそうなった場合、新しいコールサインが与えられた中部日本放送が、日本初の民間放送を名乗り続けるには、無理があるのではないでしょうか。

日本初の民間放送はあくまでもCBCの「ラジオ」であり、その象徴が「JOAR」なわけです。そのどちらも失った中部日本放送が、いくら日本初を自称しても、そこに意味を見出せるとは思えません。

となると、免許の上だけでも、JOARを引き継ぐのは、テレビ単営局となる中部日本放送本体で、CBCラジオに新規にコールサインを付与してもらう、なんてこともあるかもしれませんね??

でもまあ、そんな細かいことは実際のところ、どうでもいいことかもしれませんね。コールサインの扱いなんかでそんなイメージを抱くのは、放送マニアくらいでしょうから。


※2013.3.29追記
CBCラジオが「JOAR」を引き継ぎ、
中部日本放送(CBCテレビ)には「JOGX-DTV」が割り当てられました。

日本初の民間放送としてともに歩んできた、名古屋の中部日本放送と大阪の毎日放送。かつては両社に似たような空気を感じたものですけれども、いつかどこかで分岐して、今はすっかり違う道を歩んでいる、そんな感じがあります。

今回、一つ思い出したことがあります。2002(H14)年、CBCテレビがローカルの朝ワイド「グッデイCBC」を放送していた際、ラジオの中継先にテレビの中継車も同行して、ラジオとテレビの両方で同時に生中継をするという、「CBCだからできる!CBCにしかできない!ラジオテレビ同時中継」というコーナーを設けていたんですよね。

かつては誇りにしていたラ・テ兼営、「もうCBCにもできない」になっても構わないということですね。あのコーナーのタイトルは、開局時から分社化している東海テレビと東海ラジオへのあてつけにしか思えなかったですけど、

まさか、50年以上遅れて、あてつけした相手の経営スタイルを、後追いするとはね。そしてあのコーナーのタイトルを見て当時、「CBCにしかできないって…岐阜放送もできるだろ」と思ったりもしましたけど、今回のCBCのラジオ切り離しによって、この地方唯一のラ・テ兼営局という称号を、岐阜放送(ぎふチャン)が得ることになりますね。

とはいえ、実際には既に、CBCは事実上分社化されているようなものなので、免許が承継されたからって、それほどドラスティックに放送の内容が変わることは無いでしょうけど、ラジオに関わる社員の給与水準は、ドラスティックに変わるのでしょうね。まあそれが一番の目的でしょうし。

日本懐かしラジオ大全 (タツミムック)

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コメント

  1. 桑名あま曽我谷ラジオ より:

    不躾ながら、お邪魔します。
    元「アイ・フロッグ」です。
    TBSがラジオ事業を「TBSラジオ&コミニュケーションズ」として分社化した後も、なんとか兼営を続けてきたCBCも、多額の投資を強いられたDTV化を機に「自社兼営の限界」ということでラジオの分社化に踏み出すわけですね。
    実は、これを綴っている途中でMBSラジオのサイトをのぞいてみたのですが、ページ最下部の著作権表示は「毎日放送」の英文社名表記のままでしたので、現時点 (1月19日) では表立った分社化の動きは見られないようです (ついでにABCラジオのサイトをのぞいても、著作権表記はABC、すなわち「朝日放送」のままでした)。
    もっとも個人的には、ラ・テ兼営社のラジオ事業分社化は決して耳新しいものではありません。
    事実、札幌テレビ放送 (以下STV) は2005年10月1日 (余談ながら、愛知万博が終わった直後) に「株式会社STVラジオ」を発足させ、ラジオのコールサイン「JOWF」を同社に承継させています。また、TBSテレビの現在のコールサインは「JORX-DTV」ですが、これにしても、STVが一社兼営の頃からテレビ部門を「JOKX」として運用していることから、総務省がこれを参考に割り当てたとの解釈も可能です。
    話が長くなりましたが、今回のCBCの決定でラジオ分社化の流れが加速するとなれば地域的には、やはりぎふチャンの今後の動きに注目すべきだと思います。その最大の理由は「経営体力」の問題と思われるからです。少し範囲を広げればKBS京都、MBS、ABC。あと個人的にはSTVの名を持ち出したついでということで、北海道放送 (HBC=JOHR・JOQF他) その他全国の兼営各社の動向にも注目してよいと思います。

  2. 樋口正孝 より:

    こんにちはTOPPYさん。
    ちょっと教えていただきたいのですが、ラジオ局を分社化にはどういった意味があるのでしょうか?
    ラジオを聴く人が少なくなってきているので別会社にするとしたら、「株式会社CBCラジオ誕生」の項目でも書かれておかれますが、確かに切り捨てみたいな感じに思えますね。
    東海テレビと東海ラジオの関係は知りませんが(元から別会社?)、素人的に見るとTVとラジオは一体、という感じに思うのですが。
    では失礼いたします。

  3. >桑名あま曽我谷ラジオさま コメントありがとうございます
    仰るとおり経営体力が問題で、一番の目的はコスト削減ということに
    なるのでしょうね。兼営局の分社化もありますが、
    茨城放送のようにラジオ単営でありながら、
    ソフトとハードで別会社化するなんて動きもありますし、
    テレビはともかく、ラジオは今後より効率化、コスト削減が求められる
    そういった流れなのでしょうね。
    そうすることで意思決定などが早くできる身軽な体制になる、
    というメリットもありますかね。
    >樋口正孝さま コメントありがとうございます
    一番の理由は人件費削減だと思います。
    まずはCBCラジオを分社化することで、CBCラジオの社員について、
    CBC本体とは別の給与体系にすることが可能になります。
    さらに、別会社にすることで、ラジオの意思決定について
    CBC本体の決裁を仰ぐ必要がなくなり、迅速な経営判断が可能になる
    そういったメリットがあると思います。
    CBCは将来的に、TBSと同様に持株会社化するということなので、
    テレビについても「CBCテレビ」という会社が作られて、
    CBC本体の下にぶらさがる格好にするのではないでしょうか。
    東海については元々別会社で、
    東海ラジオが親会社、東海テレビが子会社という格好で、
    ニッポン放送とフジテレビと同様の関係になっていましたが、
    フジの買収騒動などを受けて、親子関係は解消されています。
    別会社にする一番の目的は、それぞれの事業で独立して、
    しっかりと収益を上げるということを明確にするという意味が
    大きいと思います。
    リスナーが「切り捨て」という印象をもたないようにするには、
    これまでどおりテレビの人がラジオに出たり、その逆という
    ソフト面での関係を、保つことが一番重要だと思います。
    TBSは分社化してもそのあたりは変わってませんものね。

  4. TRFun より:

    先ほどのコメントに、名前を入力するの忘れてしまいました。

  5. いちみ。 より:

    TOPPYさんの追記にもある通り、CBCテレビは4月から「JOGX-DTV」という呼出符号になる様ですね。
    それに伴って3月31日(日)23:55:45~4月1日(月)0:00:15の30秒間、変更告知が放送されるとのこと。
    呼出符号変更を機にオープニングやクロージングも新調されることになるでしょうが、ベースの映像や音楽は据え置きで呼出符号だけ差し替えるのか、それとも全く新しいオープニング・クロージングに刷新されるのかも気になるところです。

  6. shiketa102 より:

    はじめまして。私は関東在住のものですが、CBCラジオ分社化で検索してこのサイトにたどり着きコメントさせていただいております。
    しかし、一視聴者や聴取者からしてみれば、どうでも良いことなのかもしれませんが、やっぱラテ兼営って放送局として重みがあるなと思うんですよね。ただ、今はそれが経営の重みになってしまっているようですが……。
    テレビの方はだいぶ前から(もしかしたらアナログ放送開始時から?)呼出名称は「CBCテレビ(ジョン)」のようでしたので、テレビ側はコールサインの変更しかないようですが、らじおは「ちゅうぶにっぽんほうそう」から「しいびいえすらじお」になったようですね。日曜深夜のクロージングの際、CBCらじおとしか名乗っていなかったので。TBSの時は、テレビもラジオも東京放送だったので、変わったなって言う感じがしましたが(しかし、東京放送と言う名前はほぼ使われてなかったので、普通の人は知らなかったと思われます)
    しかし、日本初の民放が日本で100番目の放送局になったようで、これから在阪の朝日放送や毎日放送あたりがそうなってしまうような気がしてなりません。

  7. >TRFunさま
    名前が未入力の場合、コメント自体が届きませんので、
    よろしくお願いいたします。
    >いちみ。 さま コメントありがとうございます
    ラジオもテレビも、告知放送がありましたね。
    ホームページなども変わるかと思いましたが、そこは今まで通りみたいですね。
    お便りの宛先なども含めて、リスナーや視聴者には、
    何ら変わらないようにしているように感じます。
    >shiketa102さま コメントありがとうございます
    そうですね。これによりCBCラジオは、
    日本最長の歴史を持つ民放局ではなくなり、
    100番目の民放ラジオ局という称号を得ましたね。
    なんとなくですが、
    MBSやABCはこんなことはしないような、
    そんな気がします。

  8. Masaya より:

    お久しぶりです。。。<(_ _)>
    さて、CBCテレビ――JOGX-DTVになりましたねぇ。
    このコールサイン、福岡県の西部毎日テレビに割り当てられていたものです。
    ところが開局直前に、ラジオ九州と合併してRKB毎日放送となり、コールサインもJOFO-TVとなった為に幻に終わったコールサインでした。
    CBCもRKBも、同じJNN・TBS系列。
    そう、同じ系列繋がりと言う意味で、興味深いものを感じます。
    さて、「日本最初の民放ラジオ」の看板。
    これは、ひとまず外す事は無いでしょうねぇ。
    何故なら、会社は変わったとは言え、ラジオのコールサインは今まで通りだし、資本も然り。
    CBCもCBCで、その事には「拘り」があるでしょうしね。
    それにしても、「分社化の動き」が広がるか――これは、各放送会社の決断に依る――としか、言いようが無いでしょうね。断言は出来ないですね。
    ただ。一連の“分社化→コールサイン変更”が起きた背景を考えてみれば、ある種の“法の隙間を突いた話”とも言える訳で。
    今のまま“分社化”の動きが進むのならば、悪戯にコールサインを使い切ってしまい、枠自体が無くなる事が考えられます。
    事実上、“同一資本の経営”が続くのにコールサインは別々――これは、いくら何でもおかしいでしょう?
    そもそも、STVの場合は、テレビから先に開局して、後でラジオを開局した――と言う経緯がある為ですし。
    それなら、寧ろ、分社しても同一資本&経営体制が続く場合は、コールサインを変えずに済む様な法律改正に、総務省が動く様な気がします。
    そうなった場合は、TBSもCBCも、元々のコールサインに戻す気がします。
    長くなりましたが、今後も、新着記事を楽しみにしています。
    それでは、またです。。。(^ー^)ノ~~~~

  9. >Masayaさま コメントありがとうございます
    それがですね。大々的にではありませんが、
    「CBCラジオは日本で一番歴史のあるラジオ局から
    日本で一番新しい100番目のラジオ局へ」
    というコメントの広報が随所で行われましたので、CBCラジオとしては、
    日本最初の放送局とは名乗らない、名乗れないということだと思います。
    他社の分社化は、全くわかりませんね。CBCは気配がありましたが…。
    今後ともぼちぼち書いて行きますので、末長くよろしくお願いします。

  10. Masaya より:

    ご返事、有難うございます。。。<(_ _)>
    なるほど……CBC自身がそう告知していた――ですか……初耳でしたね。
    TBSが分社した時は、「日本で一番新しいラジオ局へ」みたいなPRはなされなかったから、CBCもそうなんだろう――と思っていましたからね。
    しかし、今ふと思ったのですが。
    ひょっとしたら、今後、CBCはロゴマークを変えるつもりなのかなぁ?――と、予感しています。
    ラジオを分社し、今後は持ち株会社への移行する上で、それに伴うテレビの分社するんでしょう。
    何よりも、CBC自身が、「日本で一番新しい……」と言う謳い文句を繰り出すなら、キリの良い時期――恐らく、持ち株会社への移行の時期に、ロゴが変わるのかなぁ?――と、想像してしまうのです。
    余談ですが、今のCBCのロゴ、使われ始めたのはいつ頃なんでしょうかねぇ?
    他局の例を挙げれば、東海テレビで、今のシンボルマークを使い始めたのが昭和41年頃――とあります。
    他に、RKBの、続け字調の旧ロゴは、昭和44年に使用開始した――と、聞きました。
    恐らく、CBCの現ロゴも、その前後の時期に制定されたものなんでしょうねぇ。
    ともあれ、今後の記事のアップに、期待しています。
    それでは、またです。。。(^ー^)ノ~~~~

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